
逓信省郵務局外国郵便課で作成された、公文書をまとめた簿冊。
旧逓信省の公文書は編纂部門別に成冊の上、永久保存・二〇年保存などの区分に分けて保管するよう定められていたが、外国郵便課では上記の規則が徹底されず(参考:『逓信事業史 第一巻』849頁「昭和十四年三月末現在在庫公文書」)、課員が個人で保管していたものが年月を経て現れたものと思われる。
①「昭和二年頃 日支間郵便関係書類簿冊」は上海クーデターなど国民党と共産党の抗争が激しくなる中での領事館からの現地報告や、日中間の郵便経路についての文書などがまとめられている。
京奉線不通による北京行郵便経路代替案ついての通知、大正14・15年中支那動乱に伴う山東省・青島行郵便差出方変更に関する文書、奉天省議会日本郵便撤廃定義の経緯、上海郵便局員罷業に関する文書(上海領事館からの電報原本含む)、「国民政府治下各地郵政状況一覧表」、「南支那方面宛郵便物に関する件」、広東郵務総工会の粉擾に関する件、奉天撫順線に依る支那郵便物逓送方の件、内地満州間発著郵便物朝鮮経由逓送に関する協定書、西比利亜経由欧州「メール」の継越及支那託送閉嚢の逓送費に関する件ほか。
②「自昭和七年至昭和十一年 満州関係書類簿冊」は満州国成立までの郵政権に関するやり取りや条約案文など。極秘文書多し。
満州国郵便切手類制作に関する文書類(暗号電報原本含む)、南満洲鉄道附属地通信行政権処理に関する件、「枢密院に於ける日満郵便条約の審査の際予想せらるる諸質問」、「満州国に於ける帝国の治外法権の撤廃及南満州鉄道附属地行政権の調整乃至移譲に関する件」、「附属地行政権調整及撤廃要項」、「通信行政処理要領(条約案骨子)」、「通信行政に関する日本国満州国間協定案」、「満州国における日本国臣民の居住及満州国の課税等に関する日本国満州国間条約」ほか。
③「日本国満洲国間郵便業務ニ関スル条約ニ基ク業務協定」は昭和10年の「日本国満洲国間郵便業務ニ関スル条約」を受けて成立。逓信大臣に代わり逓信省郵務局長久埜茂と満州帝国交通部大臣李紹庚の署名及び印璽が捺されている。
「軍事郵便物交換ニ関スル業務協定」は昭和12年締結。逓信大臣永井柳太郎と李紹庚の署名及び印璽あり。




